お嫁さん

2006年10月30日
今日は学校には行かず
家でケーキを焼いた。
キャラメルシフォンケーキ。
耳あてのお礼に、と思って。



先週バイトの人に
好きだ、と言われた。



あたしのことを
好き、と
言ってくれる人はいるけど
誰とも付き合ったことがないのは
小さいときからずっと
たった一人、
かずちゃんだけが好きだから。



昼からのバイトは
その人と一緒だった。
彼はちゃんと
普段通りにしてくれた。
素敵な人だと思った。



帰るとき
週末、映画に誘われた。
分かりやすく戸惑ってると



「友達として、だからさ」



と微笑んで
あたしの頭をくしゃっとした。
実は彼と遊んだことないの。
だから少し不安もあるけど
こうやって
仲良くなっていけばいいよね?




帰ってきたのは20時だったけど
かずちゃんの車はまだなかった。
彼女といるのかなぁと
考えたくないのに
考えてしまう。



お風呂からあがって
テレビをみていると
車の音が聞こえた。



かずちゃんだ!



ケーキを持って
急いで飛び出したら
かずちゃんが家に入ろうとしてた。



『おかえりなさい!
 あのね、ケーキ焼いたの
 耳あてのお礼だよ』


「あ、うまそう
 でもおまえ
 そんな恰好で外でたら風邪ひくぞ」



あたしはパジャマ一枚だった。
持っていたジャケットを
あたしにかけて
家に通してくれた。
こういうことを
さらっとするとこがかっこいい。



おじちゃんとおばちゃんに
こんばんは、と挨拶して
かずちゃんの部屋に行く。



「おれ、ひなのケーキ
 ほんと大好きなんだよなー」



スーツのまま
ケーキにかぶりついて
子供みたいで可愛い。



「ほんとうまいなー
 いい嫁さんになるな」


『まじ?
 じゃあもらってよ』


「まかせろ
 このケーキが毎日食えるなら
 明日にでももらってやるぞ」



冗談なのはわかってる。
だけどそう言われて
切なかった。
だってあたし
かずちゃんのお嫁さんになりたいもん。



なれないの分かってるから
切なかった。




「ケーキありがとう
 うまかったよ」



帰り際に微笑んでくれた
あなたのその笑顔が
あたしだけのものなら
どんなに幸せなの。

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