ごめんなさい

2006年11月13日
今日も
バイトで
終わったのは
22時過ぎ。




お店を出たら
小田切君が
いた。





「おつかれー」


『びっくりしたー
 どうしたの?』


「んーちょっと、な。」





あったかい
缶コーヒーを
くれた。





なんとなく
理由は聞かないまま
駅へと歩き出す。





いつもと違い
口数は少なかった。





駅が見えたとき
小田切君が
口を開いた。





「あのさ」


『ん?』


「こないだ学校に来てた人。
 ひなちゃんの彼氏?」


『あー違う違う。
 幼なじみだよー
 よく言われるの』


「なんだ、そうなんだー」





なんとなく
小田切君が
ここに来た理由が
分かった気がした。





どうしよう、と
思って
焦った。




そしたら



急に

抱き寄せられて





「おれ、ひなちゃんが好きだ。」





と、つぶやいた。





小さな声だけど
強い言葉だった。





なんて言えばいいのか
あたしの答えは
もう決まっているけど




突然すぎて
声が出なかった。






しばらくして
腕をほどき
あたしの両手を握って
彼は言った。





「おれと付き合って」





まっすぐで
真剣な瞳。






『あたし
 こないだの人が好きなの
 だから付き合えないよ』





これ以上の
答えはない。
あたしはあの人が好きだ。





「そっか…」





と苦笑いして
手を握ったまま
また歩き出した。




また傷付けてしまった…。
あたしのことを
好きになってくれる人。
今までもいたけど
断るときは
いつも胸が痛む。





小田切君の大きな背中が
とても切なくて。




ごめんなさい




心の中で
何度もつぶやいた。




あたしが
勇気を出して
この恋に
答えを出していたら。




小田切君は
傷付かずに済んだかもしれない。





あたしが弱いばかりに
大切な人が
傷付くんだ。





『あたしなんかの
 どこがいいの
 こんな弱虫なのに…』





溢れる涙を
こらえるのに必死で
あたしの声は
震えていた。





「どこって言われたら
 そりゃ全部だよ
 全部が可愛いんだよ」





小田切君は、好き。
優しいし、面白いし
男らしい。
頼れるお兄ちゃん。





だけど
あたしは
かずちゃんがいいの。





ごめんね。





あたしは8年かけても
想いを伝えられない。




そのせいで
こんな素敵な人を
傷付けて。
何度同じことを
繰り返せばいいの?






駅に着くと
振り返って
頭をなでなでしてくれて。





「ひなちゃんのこと、応援してるから。
 辛い恋なんだろ?」






涙がぶわっと溜まった。




どうして分かるの。





あたしは涙目で頷いて
小田切君の顔が
よく見えなかったけど





こんなあたしでも
想ってくれてる人が
いることを
忘れないでいようと思った。




ありがとう。
ごめんなさい。

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