夢?

2006年11月29日コメント (4)
夜、
かずちゃんが
彼女と一緒に
うちに来た。




「結婚するんです」





笑顔で
パパとママに
報告していて





あたしは
一瞬で涙が溢れた。





だけどだけど
泣くのだけは、と
こらえて
こらえて





『おめでとう!』






と、
大きな声で言った。







そこで、
目が覚めた。






…よかった。




よかったよかった。
どうしようかと思った。
死んじゃうかと思った。





あたしは
ベッドの上で
小さくなって
震えていて





寒いからなのか
恐怖からなのか。





しばらくは
夢か、現実か
分からなくて





だけど
外は明るかった。
夜じゃなかった。





安堵と共に
不安がよぎる。





正夢になる…?






喉で止めた涙の感覚は
夢から覚めても
なくならないよ。

一途に

2006年11月28日
「飯食い行こうよ」





先輩からの
電話で
夕飯は
パスタに決定。







お店に入ると
先輩の隣に
小田切君がいた。







あの日以来
会ってないし
連絡も取ってなくて






“どき”っていうより、
“びく”っとした。







「ひさしぶり!
 聞いたよ、発表するんだろ?」






すっごい笑顔で
あたしの肩を
がしっと掴む。





変わらない笑顔に
ほっとした。







あたしが
相変わらず
たくさん食べるので
先輩が
笑ってた。





「ちっこいのに
 よく食うよなぁ」






ほんと、
こんなに食べるのに
なんで
チビで細っちいの?







背の高い
いわゆる“美人”に
すごい憧れるよ。





かずちゃんの
彼女は
まさに理想。





背が高くて
整った顔立ち。
すらりと伸びた手足。





似てるのは
髪が長くて
色白なところだけ。





神様って不公平だ。







帰りは
小田切君が
送ってくれた。





気まずい雰囲気なんて
全くなくて
楽しくて
この人といると
居心地がいい。





コーヒー買って
公園に
寄り道。
少しだけ
ベンチで
話をした。









「おれのタイプは
 目がでかくて
 色白で
 背がちっこい子なんだ」







夜空を見上げて
そう言った。







「だから
 ひなには一目惚れだったんだよな。
 “超タイプ!”って」







小田切君は
あたしのこと
先輩の写真で見て
知っていたらしい。







「まーフラれちゃったけど?」






向日葵みたいに笑う
小田切君。
まっすぐで
ドキドキした。







「一途に想い続けてるとこも
 お前のいいところだから」








うん。
あたしもそう思う。






かずちゃんを好きで
そしたら8年経っていて






ただそれだけだけど
けっこうすごいって思う。







かずちゃんを
想う気持ちだけは
誰にも負けない
自信があるよ。









「おれって
 見る目はあるんだよなー」






小田切君に
好きになってもらえて
よかった。





こんなに
優しくて
素敵な人に
好かれるなんて






自分に
少しだけ
自信が持てたよ。
ありがとう。
ずっとずっと昔。
あたしが
大学2年の時。




かずちゃんと
買い物中に
写真を撮られて




二人で
雑誌に載った。
カップル特集。





微笑むかずちゃんの隣で
恥ずかしそうに
はにかんでる、あたし。





この人に
恋をしてるですって
読んでる人に
宣言してるみたい。





だけど
少しだけ
可愛いな、なんて。
一途だなぁ。





☆…☆





朝、
家の前で
思いっきりこけた。





誰も見てないと思って
足早に
立ち去ったのに…。





駅に着いたとき
メールがきた。





★派手に転びすぎ(笑)
 歯磨き粉吹いたぞ!
 大丈夫か?





歯磨き中に
目撃されたらしい。
ショック…。





☆人違いじゃないかなぁ?





なんて
知らんぷり。




またドジだなって
思われただろうなー、と
落ち込み気味で。





なのに。
なのになのになのに。









★あんな可愛いことするの
 ひなしかいないでしょ(笑)








満員電車の中で
ひとり
顔を真っ赤にして
はにかむ、あたし。





かずちゃんの隣で
照れていた
あの頃から、
何にも
変わってないよ。





季節が変わって
歳を重ねても



ボブだった髪が
腰まで伸びても



あなたの隣を
独り占めされても





この気持ちだけは
変わることなく
あなただけを
想っています。






メールを保護して
にやけながら
電車を降りた。






雨は嫌いだけど
今日は
心地よく感じたの。







恋をしてるって
実感した
雨の月曜日。

拷問

2006年11月26日コメント (3)
夜中まで
発表の準備。
けっこう疲れる…。





手を抜きたくないし
選んでくださった教授に
がっかりされたくないから
真剣に
頑張ってるんだけど。





バイトの時間まで
しっかり準備してきた。
本番の日まで
どんどん近づいていく。





日曜は
お客さんが少ない。
明日はみんな
学校や会社があるものね。





健二くんとマキもいて
ゆったりして
楽しく終わるはずだった。





だけど
世の中
そんなに甘くはない。





お店に入ってきた
見覚えのある
背の高い二人。





「こんばんはー」





かずちゃんと、彼女。
二人とも笑顔で。




一瞬
顔がこわばった。





だけど悟られちゃだめ。
すぐに笑顔で
お迎えした。





あたしは
二人を通す間に
この時間を
どうやって乗り切ろうか
頭の中で
ぐるぐる考えていた。




だけど
どう考えても
平気で
乗り切れるわけがなく




まるで拷問だ。





マキが心配そうに
あたしを見ていた。




かずちゃんは
いつもコーヒー。
彼女は
ハーブティーだった。



大人な二人。




あたしは
かずちゃんと
カフェに行くと
必ずケーキとか
パフェだもの。





二人のテーブルは
やっぱり
落ち着いた空気が
流れていて





見るに耐えなかった。
息がつまって
涙が溢れそうで
休憩室で深呼吸。




よし、と
振り返ると
健二君がいた。





「大丈夫?」



『ごめんごめん
 平気よー』



「あの人のことが好きなの?」





健二君って
絶対勘がいいと思う。
こんな状況でなくても
きっと分かるだろうな。





『うん…
 彼女素敵な人でしょ?』





自分の作り笑いが
すごく痛くて
笑えた。





「無理するなよ?」





健二君。
ありがとう。





でもね、
無理しないと
あたしは
耐えられないよ。





二人でいるところを
もう二度と見たくないって
思ったばかりなのに





神様はどうして
こんなにも
意地悪なの?





幸せそうな二人を
見せつけて
諦めろって
言いたいの?





ホールに戻ると
彼女と
目が合って





あたしの気持ち、
見透かされてるような
気がして
思わず
顔を背けた。

恋をするために

2006年11月24日
「彼氏いたことないの!?」





バイト後に
その日のメンバーで
飲みに行ったとき
びっくりされた。






やっぱり21にもなって
恋愛経験ないって
おかしいのかなぁ。






たった一人を
ずっと好きって
変わってるの?





だけど
恥ずかしくて




『なかなか縁がなくてねー』




って言った。






もったいないって
みんなが言ってくれて





あたしだって
ほんとは寂しい。





みんなの様に
好きな人と
色んなところに行きたいし
色んなことを話したい。
したいことだって
山ほどある。







でも
誰でもいいわけじゃない。
あの人じゃなくちゃ
意味がない。







あたしの顔
あたしの体
あたしの心







かずちゃんと
恋をするために
あるの。






かずちゃんと
恋をするために
生まれてきたの。






大袈裟かも
しれないけど
そう思いたい。

祝日

2006年11月23日
朝から
発表の準備のために
学校へ。




朝まで
飲んでいたので
眠たかったけど
そんなこと
言ってられないもの。





玄関を出ると
かずちゃんがいた。
車に乗り込む途中だった。





学校へ行くと
言うと
送ってやる、と
微笑んだ。





何か言うときに
微笑むくせが
とても好き。





車の中で
教授からいただいた
学会の話をした。





かずちゃんとは
研究室は違うけど
大学も同じだから
それがどれほど
名誉なことなのか
分かってくれると思った。





「お前すごいなぁ!
 そんな風に見えないのに(笑)」





そう、そうなの。
よく言われるの。
ぼーっとしてるから?





「いつあるの?
 おれも見に行くよ」





顔をくしゃくしゃにして
嬉しそうに
話してくれた。





やっぱり
喜んでくれた。





嬉しいな。
楽しいな。
今日も頑張れそうだ。







「今からどこ行くの?」





あたしは
きっと
浮かれていた。





浮かれていたから
気付かなかった。






「映画行くんだ、あいつと」







あぁ。
そうか。
そりゃそうだよね。
祝日の朝から
出かけるなんて。





聞かなきゃよかった。
なんて。





世間話をしながら
心で思うのは
別のこと。





あたしが
この車を降りたら
彼女の所へ
行ってしまう。




あたしが
座っている
この席には
彼女が座って





二人で
色んなものを見て
話して
恋人らしいことを
するんだ。





学校、
着かなきゃいいのに。





すごいながーい
渋滞ができて
身動きとれなくなったら





そしたら
狭い車内で
かずちゃんと
二人っきり。





だけど
悲しいほど
あっけなく
到着。





手を振って
別れた。





祝日なんて
いらないよ。

賭け

2006年11月22日
真っ白なシャツで
高校の飲み会に行ったら




「肌とシャツの
 境目がわからない!」




と、笑われた。





ひなは
小さい頃から
色白すぎて
ファンデを使わないのも
日本のファンデには
合う色が
ないからなのです。





かずちゃんの彼女も
色白だったけど
健康的な白さで
羨ましかった。





今日学校で
教授から
大切な話を
いただいた。





みんな喜んでくれて
すごい、と
誉めてくれて





なんか…
じわっときた。
大変なことだけど
全力で
頑張りたい。






朝まで飲んで
帰り道は明るくて
男女10人で
並んで帰った。





「おれ、ひなのこと
 好きだったんだよな」





隣の子が
突然カミングアウト。





「でもお前はさ
 かずさんが好きだっただろ?」





あたしは
びっくりして
目が丸くなった。





だって
あたしの片思いは
ほとんどの人には
言ってないもの。





「見てたら分かるよ。
 かずさんと
 話してるときのお前は
 すげーいい顔してたから」







見かけるだけで
ドキドキして
些細なことに
傷付いて





あたしの恋愛は
あの頃と
変わらずに
今も
ここにある。





「まだ好きなんだな
 すごいよ、お前は」





すごくなんかない。
臆病なだけ。





だけど
もう少しで
踏み出せそうな
気がするんだ。





かずちゃんを
好きでいるだけで
あたしは
幸せだけど





あの人がほしい、と
欲張りな
もう一人の
あたしがいて





そんなの
叶いっこない夢だけど





それでも
賭けてみたい。
奇跡を信じてみたい。

一度だけでも

2006年11月21日
昨日は
研究室の後輩の家に
友達と
泊まりに行った。




後輩に
彼氏ができたので
その話を聞くため。
あたしたちって
ミーハーすぎる…(笑)





ずっといいなって
言っていた
バイト先の人らしく




馴れ初めを話す後輩は
すごく
すごーく
幸せそうで。





人の幸せそうな顔を見ると
こちらまで
幸せな気分になる。





いいな、いいな。





好きな人が
自分を好きって
どんな気持ち?





顔を思い浮かべては
切なくなって
言葉を交わすだけで
笑顔がこぼれて






そんな想いを
あの人が
抱いてくれるなんて
どんな気分なの?





彼女になって
味わってみたい。





どれほど
幸せで
どれほど
温かいものか。






一度でいいの。
一言でいいの。






あたしを好き、と。




愛してる、と。
朝から
ひさしぶりに
勉強した。




院試は
終わったけど
後悔しないために
今のうちに
一つでも多くのことを
学んでおきたいの。





こんなあたしを
意外と真面目なんだね
と、まわりは言うけど





「お前らしいよ」





やっぱり
あなたが一番
わかってくれてる。





夕方からは
バイトで
すごい忙しかった。





だけど
どんなに忙しくても
最高の接客をしたいから
笑顔は絶やさずに。





頭の中は
ぐるぐるしてたけど(笑)





頑張り屋さん、とか
努力家、とか




そんなんじゃないよ。





誰かに
誉めてほしいとかじゃなくて
あとで
後悔したくないだけ。





頑張っておけばよかった。
やっておけばよかった。





そんな想いは
苦しいだけだから
絶対嫌なのです。



 

胸を張って

2006年11月18日
バイトの前に
マキと遊んだ。



遊んだと言っても
カフェで語っただけだけど…。




最近のことを
話したら





「ひなは人のこと考えすぎ。
 自分のことも大事にしなさい」





と、怒られました。




悪いなぁ、
申し訳ないなぁ
なんて
思ってはいけない。



それこそ
相手に悪いのね。
あたしの
ダメなとこだ。





今日も
健一くんと
バイトだったけど



きちんと
目を見て
話してくれるのが
ほっとする。



だけど
罪悪感を感じているうちは
本物ではない。






もっと
しゃんと
生きなくては。





好きなものは、好き。
これがあたし。





唯一
胸を張れること。
大学の飲み会で。
みんな酔っ払いすぎてて。





「ひなー
 頼むから気付いてー」





と、泣きながら
訴えられた。




彼は
そのまま寝てしまい
友達が連れて帰ってたけど





あれは何だったの?
ほっといていいのかな…。





帰って
お風呂に入って
色んな事を済ませてから
日記を書くのだけど





いろんな人の
日記を読むのが
すごい面白い。





へー、とか
うわー、とか
まじ?とか





独り言いいながら(笑)
部屋で読むのが
とても好き。





特に好きなのが
恋愛の話を
書いている日記。





自分と同じ
片思いの人。



両思いで
幸せそうな人。



恋人と別れて
辛そうな人。





ほんとに
色んな人がいて。





あたしは
片思いの経験しかないから
分からないけど





全てのことに
一生懸命だったなら
それの一つ一つが
人生になるから





あたしが
かずちゃんを想って
泣ける夜も





全てのことに
きっと意味がある。





そんな風に
片思いを
前向きに
考えることができた。




みなさまに
感謝です☆





☆…☆





昨日
日記書けなかった…。
なんでだろう?
開けてよかった。

願い事

2006年11月15日
実験が
早く終わったので
昼から
ふらりと買い物へ。





まだ11月なのに
街中が
クリスマスムード。





それが終われば
年越しでしょ、
バレンタインに
ホワイトデー。





はー。
悲しいなぁ。






今日は
マスカラを買った。
あたしは
ファンデーションつけなくて
日焼け止めのみ。
つまらないから
マスカラやチークが
すごい好きだ。
色々試したくなる。






だけど
グロスは
ひとつだけ。






「そのグロス可愛いなぁ
 なんか色っぽい」







何気なく
あなたが放った
その一言。




あの日から
ずっとリピートしてる。





このことを知ったら
バカだな、って
笑うのかな。





バイト先のカフェで
一休み。
おととしのクリスマスを
思い出した。





8年間で唯一
かずちゃんに
彼女がいなかったクリスマス。





おっきなツリーを
二人で見に行って




寂しいねって
笑い合った。





ツリーに
お願い事をするあたしを
七夕じゃないんだぞ、って
あなたは笑ったけど





どれだけ
切実か
あなたは
知らない。







サンタさん。
かずちゃんの心を
ひなにください。

味方

2006年11月14日
赤く腫れた目で
朝一
かずちゃんに会った。




「どうした?
 なんかあったか?」





心配そうに
あたしの顔を
のぞきこむ。





『昨日ビデオ見て
 すごい泣いちゃってさー』





かずちゃんは
あたしの
作り笑いに
騙された
フリをした。





あたしが
落ち込んだって
どうしようもないんだけど。





学校では
いつもどおり。



先輩はきっと
小田切君のこと
知ってる。



だけど
知らないフリ。
申し訳ないな。





バイトでは
健君がいて
やっぱりまだ
気まずかったりした。





苦しいな…。






終わって
携帯を開くと
メールがきていた。






★元気出せ!
 何があっても
 おれはお前の味方だぞ!

 お前が正しいと思うなら
 それが正解だ。





しかも
変な顔の
写真付き(笑)





思わず
笑ってしまった。





あなたが
味方でいてくれるなんて
なんて心強いの。





あたし
間違ってないよね。
自分に
嘘はつけないから





あなたを好きな気持ちを
消すことなんてできない。








伝えたい。
あなたのことが好きだと。

ごめんなさい

2006年11月13日
今日も
バイトで
終わったのは
22時過ぎ。




お店を出たら
小田切君が
いた。





「おつかれー」


『びっくりしたー
 どうしたの?』


「んーちょっと、な。」





あったかい
缶コーヒーを
くれた。





なんとなく
理由は聞かないまま
駅へと歩き出す。





いつもと違い
口数は少なかった。





駅が見えたとき
小田切君が
口を開いた。





「あのさ」


『ん?』


「こないだ学校に来てた人。
 ひなちゃんの彼氏?」


『あー違う違う。
 幼なじみだよー
 よく言われるの』


「なんだ、そうなんだー」





なんとなく
小田切君が
ここに来た理由が
分かった気がした。





どうしよう、と
思って
焦った。




そしたら



急に

抱き寄せられて





「おれ、ひなちゃんが好きだ。」





と、つぶやいた。





小さな声だけど
強い言葉だった。





なんて言えばいいのか
あたしの答えは
もう決まっているけど




突然すぎて
声が出なかった。






しばらくして
腕をほどき
あたしの両手を握って
彼は言った。





「おれと付き合って」





まっすぐで
真剣な瞳。






『あたし
 こないだの人が好きなの
 だから付き合えないよ』





これ以上の
答えはない。
あたしはあの人が好きだ。





「そっか…」





と苦笑いして
手を握ったまま
また歩き出した。




また傷付けてしまった…。
あたしのことを
好きになってくれる人。
今までもいたけど
断るときは
いつも胸が痛む。





小田切君の大きな背中が
とても切なくて。




ごめんなさい




心の中で
何度もつぶやいた。




あたしが
勇気を出して
この恋に
答えを出していたら。




小田切君は
傷付かずに済んだかもしれない。





あたしが弱いばかりに
大切な人が
傷付くんだ。





『あたしなんかの
 どこがいいの
 こんな弱虫なのに…』





溢れる涙を
こらえるのに必死で
あたしの声は
震えていた。





「どこって言われたら
 そりゃ全部だよ
 全部が可愛いんだよ」





小田切君は、好き。
優しいし、面白いし
男らしい。
頼れるお兄ちゃん。





だけど
あたしは
かずちゃんがいいの。





ごめんね。





あたしは8年かけても
想いを伝えられない。




そのせいで
こんな素敵な人を
傷付けて。
何度同じことを
繰り返せばいいの?






駅に着くと
振り返って
頭をなでなでしてくれて。





「ひなちゃんのこと、応援してるから。
 辛い恋なんだろ?」






涙がぶわっと溜まった。




どうして分かるの。





あたしは涙目で頷いて
小田切君の顔が
よく見えなかったけど





こんなあたしでも
想ってくれてる人が
いることを
忘れないでいようと思った。




ありがとう。
ごめんなさい。
中学からの友達の
美和とかなちゃん。
三人で旅行に行ってました。



隣の県だけど
すごい楽しかった。




お土産は
家族と
研究室と
バイト
かずちゃんの家族
に買った。




選ぶとき
みんなの顔を思い浮かべて
選んだけれど
かずちゃんのときが
一番悩んだかも。
ちょっとひいき?





夕方帰りついたとき
かずちゃんの車があったから
渡しに行った。



おじちゃんもおばちゃんも
すごい喜んでくれて
かずちゃんも



「ありがとう」



ってにっこりしてくれて
心がふわん、とした。



旅行の写真ができたら
見せる約束をした。
変な顔してませんように。





☆…☆





今日バイトで
初めて見るお客さんに
小さな紙を渡された。



名前と
電話番号と
メルアド。




「すごいタイプなんです」




と、言われましても…。
たまにこういうことはあるけど
どうしていいか分からない。




「すみません。
 彼氏がいますので
 受け取れません。」




いつもそう断るけど
もちろん嘘で。
まわりに見られるのが
とても恥ずかしくて…。



彼も恥ずかしそうに
すぐ出ていって
なんだか心が痛みました。





好きになった人が
必ず自分を好きになれば
こんなに幸せなことはない。




世界中には
星の数ほど人はいて
たくさんの人に出会うのに




どうして
たった一人の
あの人じゃなきゃだめなの?




一生
手に入らないと
分かっているのに。





旅先の旅館の温泉で



「あたし、ひなが好き
 こんなに可愛くて良い子はいないよ
 だから誰よりも幸せになって」




そう言って
あたしに微笑んだ美和。





美和。
あたし今も幸せだよ。





だけど
美和の言う“幸せ”を
あたしはいつか
手に入れることができるのかな。
普段より
1時間早く起きたけど
普段通りに
家を出た。



今日はスキニーに
ショートブーツ。
ダウンベストと
ニット帽で
可愛いカジュアルにした。



午後は
かずちゃんとデート。



研究室に行くと
先輩達に混ざって
小田切君もいた。



しかもドーナツの差し入れ付。
いい人だー。



2時前に
かずちゃんが
来てくれた。



校門にむかうとき
小田切君も
一緒にきた。



車に乗り込むと



「彼氏?」



やっぱり聞かれたか。




「ひなはモテモテだもんなー」



なんてのんきなの。
あたしはあなたが好きなのに!
もー。



車を走らせて
あたしの好きなカフェに
連れていってくれた。
遠くてあまりいけないから
とても嬉しかった。



学校のこととか
仕事のこととか
共通の友達のこととか



たくさん話した。
かずちゃんとの会話は
楽しいし、暖かいし
優しいし、面白い。



とにかく
心がほかほかになる。



好きだなぁ。



夜ご飯食べて帰ろうって
話していると
マキからメール。
風邪ひいて死にそうって。



ほんとは
かずちゃんと
一緒にいたいけど
マキが心配。
一人暮らしだもん。



かずちゃんに謝って
マキの家まで
送ってもらった。
途中で
おかゆ用の野菜とか
アイスとか買って。



『ほんとごめんね』


「ひなは優しいからなー
 夕飯はまた今度行こうな」



そう言って
かずちゃんは帰った。



マキの家に行って
おかゆを作りながら
今日あったことを話す。





「はぁ?!
 今日デートだったの?
 だったらあたしなんて
 ほっとけばよかったのにー!」



『だってー。
 マキこれ以上声枯れたら
 彼氏にふられちゃうよ?』



「それを言うな!(笑)」




ハスキー声なマキ。
美人で気が強くて
しっかり者。
だけど人一倍
友達思いで優しい。
あたしの大好きな友達だ。




「けどさ、
 “おれの癒しだー”なんて
 けっこう脈アリなんじゃない?」



『でも彼女いるもん』



「まーそれはおいといて。
 告っちゃえば?」




あたしもね
最近一緒にいると
気持ちを全部
言ってしまいたくなるの。



彼女がいるのも知ってるし
答えはもう分かってる。
どうにかなりたいなんて
これっぽっちも思ってない。



だけど
あたしの気持ちが
もう溢れそうなとこまできてて、
ただただ
好き、と伝えたい。
それだけでいい。



内緒にしてた
8年分の想いを
正直に伝えたい。



意地悪な神様も
それくらいは
許してくれるだろうか。

癒し

2006年11月7日
あたしのママと
かずちゃんのママは
歳が近いせいか
とても仲良し。



二人で買い物に行ったり
旅行に行ったりもする。



そんなときは
かずちゃんちのご飯は
あたしが作ることになっていて。
たまにかずちゃんとこで
みんなで食べたりする。




今日、ママたちは
二人でディナーらしいんだけど




アパレル関係のお仕事をしてる
かずちゃんの三個下の妹は
東京に出張らしく
そしてあたしのパパも出張。
かずちゃんのパパは
いつも帰りが遅い。




と、いうことは…?




そう、
二人っきりなのです。




学校から帰って
すぐに夕飯の準備。
かずちゃんのリクエストは
ハンバーグだった。
かわいいー☆



料理は得意だけど
好きな人に食べてもらうご飯。
いつも以上に力が入る。




「うわっ、和風ハンバーグ?
 すげーうまそう!」



帰宅早々、うちにやってきて
嬉しそうにご飯を食べた。




『おいしい?』



「うん!
 金払ってもいいくらい(笑)
 ほんと料理上手だなー」




誉められると
やばいくらい嬉しくて
あたしはずっとにこにこしていた。



ご飯のあとは決まって
二人並んで洗い物をする。
新婚さんみたいで、嬉しい☆




「ひな、明日学校?」



『ん?昼までだよー』



「おれ明日代休だから
 二人でどっか行くか」




あまりに突然すぎて
手が止まった。



うそっ…?!
行く行く!
行くに決まってるじゃん!
嬉しすぎるー!



でも…




『せっかくのお休みなのに
 ゆっくりしなくていいの?』



毎日仕事頑張って
きっと疲れてると思った。
デートは嬉しいけど
やっぱり体は大事にしてほしいもん。



そしたらね
かずちゃんはお皿を拭きながら
こう言ったの。





「いいんだよ
 おれがひなといたいんだから」





聞き間違いかと思ったけど
確かにそう言ったんだ。




『えーあたし手かかるよ?』



「まーなー
 けどひなはおれにとっての癒しだから」





どうしよう。
嬉しい。
嬉しい嬉しい。
体が熱くなっていく。




『わーい、癒し系だー』




なんてごまかしたけど
かずちゃんの方を向けなかった。



今のあたし、
“あなたが好き”
って顔に書いてあるから。





かずちゃんの言葉を
頭の中で甦らせる。
ドキドキして
眠れそうにないよ。

君が好き

2006年11月6日
かずちゃんの電話で
目が覚めた。



「昨日ありがとうな。
 あいつすげー喜んでて
 また会いたいって言ってるよ」



『あたしもたのしかったー
 素敵な人だね』




これは本音なんだけど
棒読みだったかもしれない…。
感情が沸いてこないの。



昨日からずっと考えてる。



あたし諦めたほうがいいのかもしれない。




☆…☆




今日は実験がないので
学校へは行かず部屋で過ごした。
夕方からはバイトだから
それまで自分を休めてあげる。
バイトでは笑顔でいたい。



先輩の友達の小田切君から
カラオケに誘われた。
気分転換だと思って
バイトのあとに行ってきた。



ひさしぶりに行ったけど
小田切君がすごい上手くって!
たくさんリクエストしたけど
どれも完璧に歌ってた。



やっぱりこの人面白い。
一緒にいると笑ってばっかりだ。



ふと、思った。



あたしには友達がいる。
家族もいる。
好きだと言ってくれる人もいる。




かずちゃんを好きじゃなくなっても
あたしは生きていける気がした。



気がしてた。




だけど、
小田切君がミスチルの
“君が好き”
を歌ったとき
泣きそうになってしまった。




“君が好き
 僕が生きる上で
 これ以上の意味はなくたっていい”




彼女のこと、
こんな風に思ってるの?




人前で泣くのは苦手だから
涙が流れないように
必死に深呼吸をして。




あたしやっぱり
かずちゃんを諦めてしまったら
生きていけないよ。
あたしじゃなくなっちゃう。




☆…☆




“もしもまだ願いが一つ叶うとしたら…
 そんな空想を広げ
 一日中ぼんやり過せば
 月も濁る東京の夜だ
 そしてひねり出した答えは”
 
 
 
 
 
 

彼女

2006年11月5日コメント (2)
初めて彼女を見たのは
去年の春だった。
かずちゃんの入社式の写真で
一際目立っていた
とても美しい人。



『この人すごい美人だね』


「あー目立ってたなぁ
 ひなにはない身長と色気が…」


『…うるさいよ。』




風が冷たくなってきた10月。
新しい彼女ができたと
かずちゃんから言われた。



「あの写真の人だよ」




ショックだったけど
やっぱりな、と思った。
だって今までの彼女は
綺麗で色気のある人だったもの。



ほらね、
やっぱりあたしは論外だ。





「噂通りの可愛い子ね」



にっこり笑って
そう言ったのは彼女。




『噂ってなんですか?』


「うちの会社で、
 “かずの幼なじみは可愛い”
 ってみんな言ってたから」


『えー
 それは初耳です』




そんな事言われてたのか…。
彼女に言われるなんて
少し変な感じがする。




かずちゃんの彼女は
ほんと綺麗な人だった。
知的な雰囲気だけど
とても気さくな人。
お似合いだと思った。
悔しいけど。



あたしは夜飲み会だったので
夕方会うことになっていた。



大人っぽい二人なので
服とか色々迷ったけど
普段のあたしでいようと思って
デニムのサロペットを着た。
膝丈のキュロットになっていて
靴も、バレエシューズにした。
全然大人っぽくない…。
だけどこれが、あたしだもん。



待ち合わせ場所に着くまで
どうしよう、どうしようって
すごく緊張していた。



何を話そう、とかじゃない。
二人を目の前にして
あたしは平気でいられるのか。
それが不安だった。



待ち合わせ場所に
二人揃って現れたとき
胸がぎゅーって苦しくなって
息ができなくなるかと思った。



だけど
今日は頑張ろうって決めてた。
今までだって乗り越えてきた。
二人でいるとこを見て泣いちゃうほど
あたしは弱くない、と。



彼女は黒のアンサンブルと
白いスカートを着ていて
かずちゃんはカーキのジャケットと
細身のデニム。
大人な雰囲気が漂っていた。
明らかに、あたしとは違う空気。
少しいたたまれない気分になった。



お茶している間も
3人で話してる間も
ふとした瞬間に
2人の空気が流れていて。



そのたびに
心臓が痛くなって
逃げ出したくなったけど
頑張らなくちゃ、と
自分に言い聞かせた。





夜になって飲み会に行った。
中学からの仲良しの飲み会。
あたしの片思いを
ずっと見守ってくれてる人達。



今日あったことを
全部話した。



かずちゃんに彼女ができたこと。
その彼女がとても綺麗なこと。
今日3人で会ったこと。
2人を見るのが辛かったこと。



話してるうちに
だんだん悲しくなってきて。
涙がボロボロこぼれてきた。



そのとき初めて気付いた。
あたし泣きたかったんだ。
泣いちゃうくらいきつかったんだ。
あの場を乗り切ることに必死で
そんなことすら分からなかった。



あたし
自分が思ってるほど
強くなんかなかった。





「頑張ったんだね」





と、あたしを抱きしめて
一緒に泣いてくれた
親友の美和。



つられるかのように
みんなが涙を流していて。
友達の暖かさが染みた。



今日みんなに会えて良かった。
一人じゃ
泣くこともできなかったかも。
ありがとう。




正直に言うと。
あたし彼女が嫌な人だったらいいなって
汚いこと考えてた。



そしたらきっといつか別れるし
次はあたしが
彼女になれるかもしれないじゃない?



だけどとてもいい人で。
あたしが男なら
迷わずあの人を選ぶと思った。




かずちゃんが彼女といるところ
見たことなくって。
今日初めて目の前で見て。



あたしね、
諦めたほうがいいのかなって
生まれて初めて思ったよ。




あたし心が汚れてるのかもしれない。



幸せそうな2人を
もう2度と見たくないの。

好きなとこ

2006年11月4日
「かずちゃんのどこが好き?」


と聞かれたら


『全部!』


と言うしかない。
だってほんとに
全部好きだもの。



今日はバイト以外
予定がなかったので
ぼーっとしてたんだけど
そんなときは
かずちゃんのことばかり
考えてしまいます。



かずちゃんの好きなとこ
どんなとこか考えてみた。



まず、外見。


顔が…まじかっこいい。(笑)
目は切れ長だけど二重。
鼻がスッと高くて、
唇は薄いかなぁ。
サッカーしてるからか
色はちょっと黒めだけど…。


細いし、
あ、身長は180cmらしい。
あたしが151cmだから
並ぶと凸凹…。



服装も、好き。
きれいめカジュアル。
かずちゃんが着てるから
好きなのもあるけどね(笑)



そして、中身。



とても優しいの。
怒ってるの見たことない。



真面目で努力家。
すごく面白いし
頭がいいから
話してて楽しい☆



あたしがかなりボケてるから
ちゃんとつっこんでくれるとこ、
かなり好き(笑)



あと家族や友達を大切にする。
礼儀正しいし
落ち着いてるし



ほんとにほんとに
素敵すぎる人だ。
幼なじみなのが
ちょっと自慢なの。



かずちゃんを追いかけて
同じ高校に入学したら
かずちゃんはすごいモテてて。




「かず先輩の幼なじみなんて
 ひなが羨ましいよー」




友達によく羨ましがられた。




登下校一緒だし
勉強教えてもらえるし
一緒にお弁当食べたりするし
廊下ですれ違うと
必ず声かけてくれる。



だけどね、
あたしずっとそばにいるけど
気付いてもらえないよ。
彼女ができるのを
ずっとそばで見てきたもん。



それは
あたしが選んだことなのだけど。



失う辛さより
そばにいる辛さを。



かずちゃんのいない生活なんて
きっと耐えられないもの。



こんなの後ろ向きだし
弱虫だって分かってる。
伝えてしまえば楽なのかな
と、思うときもある。



でも怖い。
嫌われたくない。
可愛い妹でいいから
大切なもの扱いされていたい。



8年分の想いが
あたしを
ここから動けなくさせてる。







明日、彼女に会う。
凹まないぞ!

1 2 3 4

 

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索